それは、普通の喫茶店。

けれど一歩でも店の奥に足を踏み入れたのなら、

そこはありとあらゆる世界に通じているという。

ようこそ、喫茶月影へ。



アルト:「………大丈夫なのかよ、ここ」
雪風:「お前な、開口一番それかよ」
雅沙羅:「まぁまぁ。心配されるのも無理はないですよ」
雪風:「どっかの科学者集団のお陰でな! 俺たちは人体実験になんか興味ねぇし安心しろ」
雅沙羅:「紅茶でもいかがですか」
アルト:「あぁ、貰うよ。でさ、二つ目の質問」
雪風:「なんだ、雅沙羅の淹れる紅茶にでも文句あんのか」
アルト:「和装なのになんで緑茶じゃねぇんだよ。…じゃなくて、何だよこのメンバー?」
雪風:「昔話でもしようかと思ってさ」
アルト:「昔話?」
雪風:「そうそう。あんまり語られることのない知り合いの過去を勝手に語ってやろうぜっていうことで。仲良くやろうじゃねぇか」
アルト:「なんだなんだ、俺にリアのことを語れってことか?」
雪風:「そういうこった」
アルト:「あいつについてねぇ…」
雅沙羅:「前回来られた時、結に会っているでしょう? あの子も今では落ち着いていますが、少し前はまたすごい荒れようで」
雪風:「そうだったそうだった。殺気なんて振りまきやがって、年頃の女の子がすることじゃねぇだろってな」
アルト:「へぇ、そんなことがあったのか。そういやリアの奴もすごかったぜ?」
雪風:「どんな風にだよ」
アルト:「ギルドに来る前に何あったかは知らねぇし聞かねぇけどさ、今以上に人は信用しねぇし毒舌はきっついしで、よくあんなのをギルドに入れる気になったなと、俺はマスターを尊敬したね」
雪風:「そりゃすげぇ。手懐け甲斐があったんじゃねぇの?」
アルト:「冗談。あれが手懐くか? あ、でも大分態度は丸くなったよな。たまにあの毒舌は照れ隠し…」
リア:「目標、固定化します」
アルト:「Σ」
リア:「全く、人のことをそうペラペラと他人に喋らないでください。プライバシー侵害ですよ?」
アルト:「…!(だからって固定化まですることあるのかよっ)」
リア:「ちょうど魔法の修行相手が欲しかったところです。当然付き合ってくださいますよね?」
アルト:「! (別の奴に頼めよっ。てかその前に固定化解けっ)」
リア:「アルトさん、もう少しはっきり言ってくださらないと、私には何が言いたいのか分かりませんね」(アルトをずるずると引きずりながら退場)

雅沙羅:「あらあら、リアってばアルトさんのことを気に入ってあるんですね」
雪風:「人迷惑な方向にな。ってかあいつの場合こっちが動向を気をつけねぇといけなかったのは科学者集団じゃなくてリアの方だったか」

***
ものかきギルド企画から、リアがよく懐いている彼、アルト君をお借りしました。
上はその、アルト君の生みの親である秋待さんの妄想を実現(笑)させたもの。
アルト君ご愁傷さまです。秋待さん、妄想ありがとうございました!





拍手お礼

雪風:「そういやあいつ、何でリアの過去話しようと思ったんだろうな」
雅沙羅:「…それは」
雪風:「過去話しろって言っただけで、別にリアのとまでは指定してねぇぞ」
雅沙羅:「よく可愛がってくださってあるんですよ」
雪風:「好意的な解釈だな、おい」
雅沙羅:「私たちに気を遣ってくださったのかも知れませんよ?」
雪風:「じゃ、そういうことにしとく」





月影草