それは、普通の喫茶店。

けれど一歩でも店の奥に足を踏み入れたのなら、

そこはありとあらゆる世界に通じているという。

ようこそ、喫茶月影へ。



『空木』:「悪ぃ、ビールはねぇ」
エーリ:「開口一番なんの冗談だそれは」
『空木』:「ドイツ人って水の代わりにビール飲むもんじゃねぇのか?」
エーリ:「ずいぶんなイメージだな、それは」
『空木』:「にしても一回見たものは大体再現できるとか、羨ましい能力だな、おい」
エーリ:「お前も組織に属しているんだろ? ならなんか特技とかないのか」
『空木』:「ない。俺は落ちこぼれの子育て要員だから」
エーリ:「お前が子育て…? そりゃ子供の将来が不安だな」
『空木』:「俺もそう思う」
エーリ:「なら何でやってんだよ」
『空木』:「他の奴らはもっと酷いからに決まってるだろ」
エーリ:「あぁ、まぁ、そういうこともあるよな」
『空木』:「てぇかお前の仏頂面、どうにかなんねぇの?」
エーリ:「これが普通の顔なんでね。いらない世話だ」
『空木』:「んなこと言わねぇで笑ってみせろ…って本当はお前なんかじゃなくてあいつに言いたいんだがな」
エーリ:「あいつ?」
『空木』:「そうそう、このくらいのガキなんだが、あいつもロクに笑いやしねぇ」
エーリ:「で、そいつのとばっちりを俺が受けてるってわけか」
『空木』:「愚痴くらい付き合え」
エーリ:「初対面の奴の愚痴に付き合う趣味はねぇよ」
『空木』:「かってぇな、お前。どうせ今だってさっさと帰りたいとかんなこと思ってんだろ」
エーリ:「相手は科学者と聞いて、もう少し建設的な話題ができるかと思ったが、間違いだったみたいだな」
『空木』:「あ? そりゃ無理だ。お前と俺じゃ専門が違いすぎる」

***
…こんな感じ?(訊くな)
ブログ交流企画 第十一回はみえさん。宅「ある修復師の話」よりエーリさんをお招きしました、ありがとうございます!
拙サイトからは「暗黒の雲」より『空木』。口が悪くて世話焼きとの情報に、絡ませてみたくなったからです(笑)





拍手お礼

『勇魚』:「いいな、いいな、『空木』だけそんなに何回も出してもらえてずるいー」
『空木』:「ずるい? 何言ってんだ、ああやって客の相手すんのも仕事の一環だっての」
『勇魚』:「だけど、私まだ一回もあそこの喫茶店入ったことない」
『空木』:「一回くらいはあるだろ、忘れてるだけで」
『勇魚』:「他のサイトからのお客さんには会ったことないもん」
『空木』:「んなこと言ったって、こればっかは俺の権限じゃどうしようもねぇよ」
『勇魚』:「分かった、じゃあ『羽蝶』に頼んでみる!」
『空木』:「…(『羽蝶』のが俺より立場下って分かってんのかな、こいつ…)」





後日談

『空木』:「お前ら一体どれだけマークされてんだよ、別所でもなんか噂流れてるみたいだぞ、こら」
『羽蝶』:「噂くらい、普通に流れるものだろう。それがどうした」
『空木』:「客に人体実験するとかなんとかって噂だよ。お前ら少しは自重しろ」
『覇王樹』:「ふぅん、そんな噂が流れてるんだ。ま、噂って言うか事実だよね」
『空木』:「だぁら自重しろって言ってんだろっ」
『覇王樹』:「僕は今更だと思うね。流石に過去は変えられないし?」
『空木』:「お前らにも不可能があるって聞いて安心したぜ。論点違ぇ」
『羽蝶』:「…結局、何が言いたいんだ?」
『覇王樹』:「要するに八つ当たりっていうことでいいのかな?」
『空木』:「『いいのかな?』じゃねぇよ、良くねぇよ。とにかく、客に手ぇ出すんじゃねぇ」
『覇王樹』:「いやぁ、あんな人材に出会うことなんて滅多にないからね。健康に害はないんだ、問題はないだろう?」
『空木』:「あるっつってんだろ、だから。どこの世に客で実験する科学者がいる、言ってみろ」
『羽蝶』:「…ここ」
『覇王樹』:「正論だね」
『空木』:「ボソっと何言ってやがる、『羽蝶』。分ぁったよ、お前らに理解させようとした俺が馬鹿だった」
『覇王樹』:「じゃ、どうするわけ?」
『空木』:「お前ら謹慎な。客の相手は絶対するな」
『覇王樹』:「それってさぁ、『空木』の権限じゃなかった気がするんだけど?」
『羽蝶』:「相手方から要請があったらどうする」
『空木』:「んな奇特な奴いねぇよ、こんだけ問題ばっか起こしやがって」

***
Σまさかの打ち返し来た…!?
ということでこちらも後日談。
というかそうか、『覇王樹』は確かに工学だから、彼と話をさせれば良かったのか…と今更ながらに反省。
そしてエーリさんも良い性格してますね! (客に手を出す〜の辺り・笑)





月影草