それは、普通の喫茶店。

けれど一歩でも店の奥に足を踏み入れたのなら、

そこはありとあらゆる世界に通じているという。

ようこそ、喫茶月影へ。



トット:「うわぁ、食べ物がいっぱいだよ、ししょー、これ僕全部食べていいの?」
ピアニー:「それを私に訊くでない。訊くならばここの主人にであろう」
『空木』:「全部食い切ってもらわないと逆に困る。ここ、んな大食いいねぇから」
トット:「ほんとー? わーい!」
ピアニー:「いいのか、あれだけ用意するのはさぞかしの手間であっただろうて」
『空木』:「あんたにはこれ(酒樽)な。いいっていいって、稼ぎ頭いるし」
ピアニー:「かたじけない」
『羽蝶』:「…(じーっとトットが食べる様子を眺めている)」
トット:「…何?」
『空木』:「どした、『羽蝶』」
『羽蝶』:「…その料理は、主に雅沙羅や杏奈が用意したものだ」
『空木』:「だろうな。他料理できそうな奴いねぇし」
トット:「うんうん、それがどうしたの?」
ピアニー:「お主、今『主に』と言わなかったか…?」
『羽蝶』:「一品だけ、『覇王樹』と私が用意した」
『空木』:「おい待て。んな話聞いてねぇぞ。つか見た目じゃ分かんねぇな…どんなロシアンルーレットだよ、おい」
トット:「え? どれもおいしいよー?」
ピアニー:「お主らが用意すると、何かあるのか?」
『羽蝶』:「ナノマシンが入っている」
トット:「え、なにそれ?」
『空木』:「さっさと食うのやめろーっ」
『羽蝶』:「ただ、身体の中の様子を見せてもらうだけだ。問題ない」
『空木』:「んなもん料理に混ぜんなっ。てかどれに入れたんだよ、お前らっ」
ピアニー:「話が見えんのだが」
『空木』:「よーするに自立型ロボットのちっちぇのをあいつの身体の中に送り込んで体内スキャンするって話だろ!? つーかお前らはよくも毎度毎度似たようなことをやらかしやがって…」
トット:「ししょー」
ピアニー:「何だトット」
トット:「何がまずいのかさっぱり分かんないんだけど」
ピアニー:「…解析してもらえば、お主の大食いを治す手立てが分かるかも知れんな」
トット:「じゃ、ししょーの大酒飲みも治してもらおうよ!」
ピアニー:「私はいい、私は治らなくて構わん!」
『羽蝶』:「データ収集を継続してもいいだろうか、『空木』?」
『空木』:「…好きにしろ」

***
ついに二桁になりました今回は、秋待さん宅「弦月の仮宿」で掲載されている小説「歪みの伝導師」よりピアニーさんとトット君をご招待しました。
拙サイトからは「暗黒の雲」より『羽蝶』と『空木』の二人。
…秋待さん宅の皆さんの扱い、やったら酷いですよね、ここ(苦笑)
まったく、うちの科学者集団は好き勝手にやってくれて…(責任転嫁)





拍手お礼

千秋:「ねぇ、おもしろい法則を発見したんだけど」
雅沙羅:「どんな法則ですか?」
千秋:「口が悪いキャラほど世話焼き」
雅沙羅:「『空木』に雪風に…ヴィル、ですか。確かに面倒見は結構いいですよね」
千秋:「ただエベルが例外ね」
雅沙羅:「法則に例外はつき物ですよ」
エベル:「おい待て、そーいうこと笑顔で言うなよっ」





後日談

エベル:「なんだなんだ、なんの集まりだ、これは?」
雅沙羅:「ここのサイトが『危険地区認定』されました」
『空木』:「やっぱりな。そろそろじゃねぇかと思ったんだ」
ユリ:「ちょ…なにやったんですか、一体!?」
『羽蝶』:「少しデータを集めさせてもらっただけだ」
千秋:「だからってナノマシンなんか客に食べさせなーいっ」
雅沙羅:「まぁまぁ、悪気はなかったんですし…」
ユリ:「余計に悪いじゃないですか!?」
『覇王樹』:「君はもう少し落ち着くべきじゃないかな? ここで叱ったところで既にやってしまったことは変えられないんだし」
『空木』:「お前がそれを言うな、元凶2」
『覇王樹』:「好奇心に忠実だと言ってほしいね」
『空木』:「そのまま猫になってやられてしまえ」
エベル:「物騒なことさらりと言ってんじゃねぇよ」
雅沙羅:「ユリ、大丈夫ですか?」
ユリ:「え、えぇ、もう駄目かもしれないです。胃痛と頭痛が痛い…」
『羽蝶』:「…その表現は誤りである。なぜならば…」
千秋:「『羽蝶』…うん、間違ってるのは分かってるからそっとしといたげて」
『羽蝶』:「何故?」
千秋:「…雅沙羅、バトンタッチ!」
エベル:「責任持てよ」
千秋:「なによ、じゃああんたが説明する?」
エベル:「無理言うな」
『空木』:「てぇかいいのか、徨は。よそのサイトとの関係がこれ(危険地区)で」
雅沙羅:「本人は楽しんでいるみたいなのですが」
『空木』:「さっさと首切れ、そんなやつ」
『覇王樹』:「じゃ、僕が管理人代理にでもなるかな」
エベル:「ちょい待て、管理人代理にするなら、やっぱ看板にさせるべきだろ」
『覇王樹』:「君に務まるとでも?」
エベル:「う…」
千秋:「でもあんたじゃ更に不安だって。ていうかあんたも元凶でしょ、さっきから言ってるけど」
雅沙羅:「では、徨を謹慎処分にして私と瑠璃で暫くは管理人代行を…」
『空木』:「話聞いてたのかよ」
千秋:「瑠璃だって元凶でしょーがっ」

『羽蝶』:「…結局、どうするんだ?」

***
あちらのサイトでの後日談を秋待さんが書いてくださったので、調子に乗って私も(笑)
基本的に穏やか(笑)な拙サイトですが、ついに危険地区認定されました。
全くもってその対応は正しいと思います。暴力だけが危険なわけではありません(待)





月影草