それは、普通の喫茶店。

けれど一歩でも店の奥に足を踏み入れたのなら、

そこはありとあらゆる世界に通じているという。

ようこそ、喫茶月影へ。



瑠璃:「…最近の地球温暖化についての意見を聞きたいと、そういうことかしら?」
早蕨:「そうだよ。その手の議論は飽きるほどにやってるんじゃないの?」
綜:「いや別に。現状では興味ないし」
瑠璃:「私は興味があるわ。そもそもこれは気候変動であって温暖化ではない、それなのにどうして温暖化と言われるようになったのか、とかね」
黍:「それは議題が違うだろう」
瑠璃:「それは環境学者にでも言ってもらいたいものね」
綜:「それに君たちはタイミングが悪いね。去年なら、僕たちよりも適役がいたというのに」
早蕨:「だから? 科学者として思うことは何もないって、そう解釈していいの?」
綜:「気候が変わりつつあるのは知ってるよ。だけど、だから何と僕は問いたいね。気候だなんてそんなもの、昔っから変わってるじゃないか」
黍:「一切の責任がないと、そう言いたげだな」
瑠璃:「ならば今更ながらにヒトが科学を捨てた所で元に戻るとでも思っているのかしら?」
早蕨:「そうは思わないけど、元に戻そうと頑張ってるんじゃないか」
瑠璃:「そう。ならば頑張ればいいわ」
綜:「でもさ、君たちこそ分かってないんじゃないの? 自然の掟は弱肉強食だよ」
黍:「弱いものは切り捨てられるべきと、そう言うつもりなのか」
瑠璃:「そういうあなたたちこそ、『自然』を自らの管理下に置くつもり? それこそ冗談じゃないと思うけれど」
早蕨:「ねぇ、ひとついいかな」
黍:「なんだ」
早蕨:「なんだかすっごく平行線な気がする」
綜:「あれ、もう気付いちゃった? 残念だな」

***
ブログ交流企画 第二回は、宵知さん宅「願い井戸」・「冬の歯車」に出演している早蕨さん、黍さんのお二人をお借りしました。ありがとうございます。
上の二作品を読ませていただいた感じでは、お二人は自然擁護派なのかと思いまして、拙サイトからは意見が対立しそうな瑠璃と綜に出てきてもらいました。





拍手お礼

茘枝:「…で?」
瑠璃:「だから、地球温暖化についてどう思うかを聞かれたのよ。茘枝はどう思う?」
茘枝:「どうって…まぁ、あんまり暑くはならないで欲しいかなって…」
瑠璃:「どうして?」
茘枝:「だって機械が熱暴走するのは避けたいし。どちらかというと気温が低い方が対応しやす…くもないか」
瑠璃:「貴重な意見をありがとう。今度からはそう答えるようにするわ」
茘枝:「Σえ、ちょっと待って、瑠璃は一体なんて答えてきたのよ」
綜:「どっちにしろ、一般的な回答じゃないけどね」





月影草