リュー:「そんなこんなでやってきました、トリック・オア・トリックでエベルをよろしく頼む」
エベル:「誰か遊びに来ねぇかって、今か今かと待ち構えてたところだぜっ!」
リュー:「そんな待ちぼうけの君に、気の早いリューサンタからお年玉のプレゼントー」
エベル:「でっかい箱だな! 開けてもいいか?」
リュー:「おれの役目はこれを無事に届けるところまでだから、あとは煮るなり焼くなり気の向くままにどうぞごゆっくり。ただし返品は受け付けません」
エベル:「えい(開けた)」
トータ:「全く、僕を突然箱の中に押し込めて閉じ込めるとは良い度胸をしているじゃないか。一体全体これは何のつもりなのか、一からの説明を請いたいね」
エベル:「よぉ、チビ! 良く来たな! そこのポーカーフェイスなお前も、こいつ運んできてくれてあんがとよ!」
リュー:「どういたしまして。そのポーカーフェイスなおれはお邪魔そうなので、早々に退散しようと思います」
エベル:「折角ここまで来たんだから、茶くらい飲んでけよ」
トータ:「無理矢理連れてこられた上にまるっきり無視とは、どんな教育を受けてきたのか親の顔を見てみたいものだね。折角ハナダに淹れてもらった紅茶で休日を楽しんでいたというのに台無しだ」
リュー:「用事が終われば名も名乗らずに颯爽と去って行くのが格好良いヒーローの条件だと思うんだ。じゃ(あっさりと立ち去る)」
エベル:「また遊びに来いよ! それはそうと、久しぶりだな、チビ!」
トータ:「あなたはまだ人の名前も覚えられていないのかい? 
この期に及んでこんなに何度も訪れている客人の名をまだ覚えられていないのだとしたら、記憶力が非常に残念だとした言いようがないよ」
エベル:「だってお前来るの久しぶりじゃねぇか」
トータ:「僕がここに来るのを何度目だと思っているのかは知らないけれど、そろそろもう少しまともな応対というものをして欲しいものだよ」
エベル:「それで、お前はなんか飲んでくよな!」
トータ:「ハナダの紅茶が一番なことに変わりはないけれど、そうだね、紅茶でもいただこうか。そういえばこちらには、洋菓子を作るのが得意な人がいたね? じゃあお茶請けにマドレーヌを」
エベル:「マドレーヌ! 待ってました!」
トータ:「貴方も一緒に食べるのかい?」
レオン:「呼んだか、私を! あぁ、ようやく私も指名されるようになったとは、なんとおめでたいことだ。これは祝宴をあげるべきだろう、今すぐに!」
エベル:「賛成! 賛成! 大賛成!」
トータ:「いや、僕はマドレーヌを所望しただけで貴方とは面識もないし、貴方を指名したつもりもないと、分かっているのかな?」
レオン:「私の初登場から早くも三年近く、一体どれだけこの日を待ちわびたことか…!」
エベル:「長かったな、レオンハルト!」
レオン:「全くだ…エベル、君は分かってくれるのか! うちの息子は理解しようとする姿勢すら見せないものを…」
トータ:「もしもし? 聞こえているのかい? それとも僕を放っておく程に重要なことなのかな、それは? 貴方の息子が誰だか知らないけれど、分かりたくもない気持ちには共感できそうだね」
レオン:「さぁ少年、マドレーヌなら心行くまで遠慮なく沢山食べなさい。大きくなるように」
エベル:「そうだそうだ、いっぱい食べないと、いつまで経ってもチビのままだぞ?」
トータ:「二人揃って高身長であることがそんなに良いことだと信じているだなんて、おめでたい頭をしているようだね。大体身長だなんて言うものは親からの遺伝で八割り方決まってしまうものだし、マドレーヌをいくら食べた所で増えるのは幅であって縦じゃないと思うけれど」

(ばたーん)

アルト:「おおい、トータ、大丈夫か!?」
トータ:「大丈夫も何も、話が全く通じないどころか人の話を聞こうとすらしない人たちを相手に、そろそろ精神的被害を訴えようかと思っていた所だよ」
アルト:「なんだ、無事だったのか。攫われたって聞いてびっくりしたぜ」
トータ:「現時点でまさにその攫われた状態が続いている訳なんだけれどね?」
エベル:「お、あの有名心配性」
レオン:「トリック・オア・トリートのお客さんかな? よし、注文を聞こう」
アルト:「は? 注文? あぁ、そういやそんなイベントもやってるって話してたな…じゃあキャンディで」
エベル:「キャンディ追加!」
瑠璃:「そういえばホワイトデーもキャンディだったわね、あなた。持っていたのがあの子じゃなくてごめんなさい?」
アルト:「いや、なんか悪いな、突然押しかけたのに菓子まで貰っちまって」
エベル:「そういうイベントだから気にすんなって!」
レオン:「次に来る時もまた、私の指名を頼むよ、少年」
トータ:「会話が成り立たない人と話をしにくる気はないし、そもそも次回があること前提なのが気に食わないね。紅茶とお茶請けをゆっくりと楽しめるのならば考えなくもないけれど、貴方たちとではそれも難しそうだ」
瑠璃:「あぁ、そのキャンディ」
アルト:「ん?」
瑠璃:「人体に害のあるものは入っていないから安心してね」
アルト:「おい、待て、それどーいう意味だよ!? 何が入ってんだ、これ!?」
瑠璃:「次回遊びにくる時には感想をよろしく」
アルト:「んな訳の分からねぇもん食えるかっ!」


***


秋待さん宅「弦月の仮宿」から、GDGD企画のリュー君、「願望交換局」のトータ君、
ものかきギルド企画のアルト君の四人が遊びにきてくださいました。秋待さん、ありがとうございます!
そして拙宅からはトリックで指名して頂いたエベルと、レオン(マドレーヌ)、瑠璃(キャンディ)の三人でした。

では、何か問題がありましたら、ご連絡くださいませ。


***


輝安:「誰だ、こいつらにまで菓子持たせてハロウィン企画に参加させたのは…!」
綜:「いやだな、そんな分かりきったこと聞いちゃう?」
瑠璃:「徨以外の誰がいるっていうのかしら」
輝安:「そりゃな、分かってたけどな、それでも言いたくなる俺の気持ちを理解しろ」
綜:「そんな、自分のことを他人が理解してくれる、だなんて、それは幻想だよ」
輝安:「お前らはもう少し努力しろってんだ。何混ぜた」
瑠璃:「別に何も?」
輝安:「嘘吐け」
瑠璃:「本当は心配性が治る薬とか、身長が伸びる薬とか混ぜようかとも思ったんだけど、大丈夫よ。未遂に終わったから」
輝安:「自己申告なのが更に怪しい。本当だろうな?」
綜:「君は僕たちが言うことなんて何も信じないんだから、僕らが何言っても無駄だよね、基本的に」
輝安:「そもそもお前らは、俺の信用に値する行動を取ってるのか、そこから聞いてやろうじゃねぇか」
瑠璃:「いいえ」
綜:「いいや」
輝安:「そこで二人揃って即答してんじゃねぇってのっ!」


***


ということで、お渡ししたキャンディには恐らく何も入っていない、はず。
自己申告なので、どこまで信じるかはあなた次第です(笑)
少なくとも死に至ることはない、ことは保証しておきます(←)





月影草