約束するから。だから。



願い事ひとつ


「な……」
 街中で転んで足を捻ってしまった子供の治療をし、家まで送り届けたアルトは、酒場に入った途端その顔を思い切り歪めた。
 ジャンは調理場で走り回り、ヤマトはカウンターに突っ伏し、その横でクレマンが優雅にワインを嗜んでいる。テーブルの一つでは義春とキールが噛み合っているかも分からないような会話を繰り広げ、ロベリアが窓際の植木鉢に水をやる。
 それはいつも通りの風景で、しかし一点が致命的に間違っていた。
「ななな……どーなってんだよ、これは!?」
 義春とロベリアがにこりと笑い、キールが頷き、ヤマトが面倒くさそうに手を上げ、ジャンが「お帰り」と声をかけてくる。そして。
「どうって、見て分からないんですか?」
「私が二人いる。ただそれだけのことで騒がないでください」
「それとも、騒いだら現状が変わるんですか? それはまた便利な能力をお持ちですね」
 金髪で赤い服を着たの少女が二人。同じようにカップを持ち上げ、同じようにそれを口に運び、同じ顔の角度でアルトを迎え、同じように毒舌を吐いてきた。
「だっから、どーしてお前が二人いるのかを説明しろっていうんだよっ!」
 赤い魔王女の異名を持つ少女、リア。
 彼女が二人も存在するだなんて、悪夢以外の何物でもない。

「だからね、リアちゃんが二人になっちゃったんだよー」
「それは言われなくたって分かるっての」
 落ち着く為の薬、と言われ笑顔で差し出された怪しげな緑でどろりとした液体をロベリアに押し戻しつつ、リアと同じテーブルに着席したアルトは、忙しなく彼女らを見比べる。
「ってか、どっちが本物?」
『私です』
 二人のリアは申し合わせたかのように二人同時に「本物」を自称する。発言タイミングも声の調子も同じ。彼女らの笑顔は、何故か二人とも上機嫌だと示している。
「おい、ヨランド呼べよ、ヨランド。あいつの解析ならどっちが本物とか偽物とか分かるんじゃねぇの?」
「うん、それは僕たちも思ってね、実際に依頼しに行ったんだよ。そしたら断られて」
「なんで」
「あそこのギルドねー、年末大掃除の依頼がいっぱいで、忙しいんだって」
 おとなりギルドも大変だねー、と、クレマンとロベリアの二人が呑気そうにほのぼのと語る。
「大掃除以下なのかよ!?」
「まぁ、そういうことですので」
 二人のリアは、テーブルの上に紅茶のカップを置く。そして、ひたとアルトを見据えた。
「皆さんに見分けていただきたいと思います。私たちのどちらが本物かを」
「おいおい、ってか本物のリアとしてはいいのかよ、それでっ。俺らが、偽物を本物って言ったらどーすんだよ、お前は!」
「おや、見分けてくださらないんですか?」
 見分けなさい、とその笑顔が告げている。言い返せないアルトをその場に残し、ご馳走様でした、とカップをカウンターへと運んだ彼女らは二人揃って街中に遊びに行くようであった。
 頭痛と、胃痛がした。
「あいつ、あんなこと言ってたけど、誰か自信あるのか?」
「さぁな。でもあいつが二人もいたら俺の胃が保たんから、早急に解決してくれ」
 調理場から大真面目な顔でのたまわるジャン。
「すまないね、私たちには今の所さっぱりなんだ」
 そう苦笑して謝ってくるのは義春。
「マニュアルにも、見分け方は載っていなかった」
 分厚いマニュアルを片手に頷いたのはキール。
「載ってたらそれこそ驚きだっての!」
「でもアルト君は見分けてくれるよね?」
 ふにゃらとした笑顔で爆弾投下したのはロベリア。
「なんで俺!?」
「なんでって、アルトだから」
 ぼそりと告げた黒い剣士はちらりとアルトを見ると、わざとらしく反対側を向いて再びカウンターに突っ伏した。
 我に返ったアルトが、そんな彼の首根っこを掴んで冷たい風が吹く街中にと繰り出して行くまで、残り5秒。

 シャルロットは悩んでいた。
 ぱっと見が同じでも、なにかが違う。それが気のせいなのか、それとも実際に何かが違うのか、彼女には良く分からなかったのだ。
「あのー、ロッティさーん……」
 困った顔でシブリーが控えめに声をかける。
「もう、静かにしててよ! 今真剣に悩んでるんだから!」
「えー……いいんじゃないですか、どっちでも」
「良くない!」
 シャルロットに叫ばれ、シブリーは思わず首を竦める。
 彼の手には、二着のスーツ。彼女が先ほどから睨むように見つめている物だ。
「だって、だって、折角あのコンサートに行くんだから!」
「何も僕じゃなくたって、別の人を誘えば良かったんじゃ……」
「シブリーは黙ってて!」
 福引きでまた当たったとか言って、ヤマトがシャルロットにくれたのは、コンサートのペアチケットだった。会場は、貴族や富豪が出入りするようなハイクラスのコンサートホールで、一度は行ってみたいと彼女も常日頃から思っていたのだ。
 そしてそんな高級な場所、普段着で出入りする訳にはいかない。
「マリリンさん、今日は忙しいみたいだしなぁ。アドバイス聞きたかったんだけど」
「私は右の方が良いと思いますよ」
「右? え、右ってこっち? あ、やっぱり何か違うの、これ?」
 言われた右のスーツに飛びつきテンションが上がったのも束の間、声の主を振り返ってみたシャルロットは思わず凍り付いた。シブリーも、ぽかんと口を開けている。
「切り替えが少し違うようですね。デザインに対した差はありませんけど」
「おや、二人ともそんなに口を開けていたら、誰かさんに妙な薬を投げ込まれても知りませんよ?」
 赤い服。
 金色の髪。
 そして、決して崩れることのない笑顔。
「えぇっ、リアさんが二人ーっ!?」
「まさか、生き別れの双子がいたとか、そんなことがあっちゃったり!?」
「あぁ、そういうことにしても面白いですね」
 くすくすと笑った彼女は、ふと近くにあった赤いネクタイを手に取る。そしてそれをシブリーに押し付けた。
「やはり、ネクタイは赤でしょう。蝶結びでお願いしますね」
 では、と軽やかな足取りで去って行く二人のリアに、呆気に取られたのも束の間。
「蝶ネクタイの結び方なんて知らないんですけどっ!?」
 シブリーの悲痛な叫びに、どうやら彼女は動じない。

 鼻歌混じりに剣の刃を磨いていたエリィは、からんころんというドアベルの音に、「いらっしゃいませぇ!」と声を張り上げた。訪れたのは、馴染みの顔である。
「よぉ、エリィ。この間預けた俺の槍、仕上がってるか?」
「ついでに俺の篭手も」
「おやおや三人お揃いで、お二人の槍も篭手も仕上がってますよぉ! リーチェさんは何のご用件で?」
 用件を告げたバーナビーとイザナギの後ろから入ってきたリーチェルートにも、エリィは声をかける。リーチェルートは笑顔で胸を張った。
「わらわは遊びに来ただけなのじゃ!」
「そぉですか。それならば、昨日入荷したばかりのこの魔法石なんていかがでしょ? 周囲の魔力を集め、自分のものとして使えるようにするんですよ、これさえあれば魔力切れだなんてありえません!」
 ささっと差し出された、深い青色の石を受け取り、リーチェルートはまじまじと眺める。
「良い光沢じゃのう……しかし、どこから集めてくるんじゃ? まさか周囲の人間なんて言わんじゃろう?」
「エリィ、さすがにこれは使えないだろ。どっか封印しておけって」
 エリィから受け取った篭手の調子を確かめていたイザナギが、僅かに眉をしかめつつ言う。
「今の状態ですら、俺の魔力を吸ってやがる。こんなもの、近くで使われたら洒落にならん」
「もう、嫌ですねぇ、イザナギさん! いつものように、『浪漫だ!』くらい言ってくださいよぉ。ですけど確かにそぉなんですよ、それがちょーっとばかり問題でして、ここ、レヒネルアームズまで到着したのであります!」
「ははっ、売れ残りを安く買ったのか? お前らしいな!」
 槍の穂先を見ていたバーナビーが満足げに頷き、そして豪快に笑い飛ばした。エリィもリーチェも、朗らかに笑う。
 ばたんと、勢い良く扉が開かれたのはその時だった。
「おい、エリィ! リア、見なかったか?」
 息を切らせながら駆け込んできたのはアルト。彼の後ろで「よぉ」とやる気なく片手を上げて挨拶してくるのは、ヤマトである。
「リアがどうかしたのか? 俺は見てない」
「俺も今日は会ってないな」
「うちには来てませんよぉ? 何か急ぎのクエストでも入ったんですか? 例えばお宝探しとか」
「遺跡発掘とかもいいな、俺が行こうか?」
「盗賊退治なんてどうだ? 血が騒ぐっ!」
「むしろあいつがクエスト対象だっ!」
 口々に勝手なことを言い出す面々を、アルトが一喝する。ぽかんとした彼らは、それぞれ顔を見合わせた。
「何かしたのか、リアは?」
 大真面目な顔をして問いかけるバーナビーに、アルトは弱く首を振るしかない。
「そんなの、俺が聞きてぇよ」
「なんだ、まさか指名手配でもされたか?」
 イザナギの真面目な顔に、「笑えねぇな」とヤマトが笑う。
「なんかさー、あいつ分裂しやがって? なんつーか、どっかの鎧が暴走した時っぽいなーって? あーあ、あいつのせいでヤなこと思い出したぜ」
「まさか、あの時壊したと思ったドッペルアーマーが、実は健在だったとか、そぉいう話ならばワタクシ、今回こそは無傷で回収すべく協力は惜しみませんよ!」
「あの時は完膚なきまでにぶっ潰したから、それはない」
 きらきらと目を輝かせたエリィに、ヤマトがきりっとした顔で言い切った。
「だぁかぁらぁ、なんであんなもったいないことしちゃんたんですかぁ、ヤマトさんは!」
「だーかーらー、あんなはた迷惑なもん、野放しにしておけねぇだろ」
「野放しじゃありませんってば! ワタクシが大切に保存・管理させていただきますっ!」
「で? 原因は分かってるのか、アルト」
 あの時のことを思い出し、言い争いを始めてしまった二人を他所に、バーナビーが単刀直入に訊く。彼は弄んでいた槍を肩に担ぎ直した。
「分かってたら苦労しねぇよ。あいつ自身もどっかほっつき歩いてるし、そんな本人もいないのに、どっちが本物か分かる訳ねぇだろ。本人にも素直に答える気はなさそうだし」
 愚痴るようにアルトが呟けば、バーナビーがやれやれと苦笑する。そして、リーチェルートがびしっと手を挙げた。
「わらわはさっき会ったのじゃ!」
「へぇ、そうか。…………はぁ!? 会ったのかよ、どこで、どっちに!?」
「あっちの方だったのじゃ!」
「あっちで分かるかよっ! もっと、こう、具体的にだな」
「じゃから、あっちの方じゃて! あっち……そうじゃ、露店商のあたりじゃ! それにしてもリアは苦労してきておるんじゃのぅ……生き別れの双子がおるなんて知らんかった」
 何を思い出したのか、ぽつりとリーチェルートがどこか痛々しく、口調も弱く告げる。イザナギもバーナビーもエリィも、事情を知らない者は全員、目を瞬かせた。
「あいつのホラを間に受けるなっ。いつもみたいにからかって遊んでるだけだってのっ!」
「じゃあ、リアが二人いるっての、お前はどう説明するつもりなんだ?」
 イザナギの冷静な言葉に、アルトはうっと言葉に詰まる。
 彼女が二人いること。それは説明できない。
 しかし、ギルドで会った時、二人共に「本物」を主張した。本当に生き別れの双子であるならば、「本物」だなんて言うだろうか?
 自問すれば、リアだし双子だし、そういうこともあるかもしれないと思えてしまって質が悪い。
「ま、いいや。俺はリアを追いかける。情報あんがとな、リーチェ。ほら行くぞ、ヤマト!」
「へーへー」
 黒い剣士はやはりやる気なさそうに返事をした。

「それで? あの二人に会ったとして、お前どーやって見分けるつもりなんだ?」
 腕を頭の上で組んだままのヤマトの問い。早足で彼の前を歩いていたアルトは、ふと足を止める。
「……分かんね。あいつさぁ、あんなこと言って、俺たちに見分けて欲しいんだって、それは分かるけどさ、でもさ、分かんねぇんだよ。どうやったら見分けてやれんのか。本人に確認すんのが一番早いんだろうけど、あいつが素直に答えるとは思わねぇし」
 見上げた空は曇り。動き回って火照った身体を、冷たい風が撫でて行く。
 同じ空を見上げたヤマトが、やる気もなさそうに口を開いた。
「素直に答えさせりゃいいんだな?」
「どうやってだよ」
「んー、くすぐってみたら吐かねぇかな?」
「あいつをくすぐる勇気があるなら、お前一人でやれよ」
「アルト君ってば冷たぁい。本物のリアを見分けてあげないのー?」
「止めろっ、気持ち悪ぃっ!」
 身をくねらせたヤマトに、アルトは一喝する。しかしヤマトはくじけず、今度は真面目な顔で口を開いた。
「じゃーさ、リアとリアが勝負するってのはどーだ?」
「どーだって、だから、何がどうしてそうなるんだよ!?」
「さぁ」
「さぁ、じゃねぇだろ!? 自分の発言には責任持てよっ」
「いやん、アルト君ってばこっわぁい」
「だ、か、ら、お前はその気持ち悪い喋り方をやめろーっ!!」
 思いっきり耳を塞いでヤマトは、肩でぜえぜえと息をするアルトに、にやりと笑ってみせた。
「ほら、噂すればあそこにいるぜ」
 軽く顎で指し示された道の先。
 見間違えるはずもない。赤い人影が、二つ。
「……だから、説明しろと言っている」
 聞こえたのは、黒魔術師の冷ややかな声。
 アルトが目を凝らしてみれば、二人の赤い少女に挟まれるように、彼、クロイは佇んでいた。
「おぉい、大丈夫か、クロイ!?」
 声をかけながら思わずアルトが駆け寄れば、笑顔で彼女らが振り返る。
「その言い方はなんですか、アルトさん」
「まるで私が疫病神か何かのような表現ですね」
「あ、いや、これは言葉の綾って奴でだな」
 しどろもどろに言い訳を始めるアルトに、クロイは詰め寄った。
「一体どういうことか、説明しろ。大体、どっちが本物なんだ」
「んなもん、俺のが説明して欲しいし教えて欲しいっての!」
「おや、ではあなたには私たちの見分け方すらも分からないと、そういうことですか?」
 笑顔で告げられた言葉に、アルトは冷や汗を流す。そんなもの、分かるはずもない。顔を引きつらせたまま、視線だけをヤマトに向ければ、彼は呑気に大あくびした。
「おー、だからお前ら勝負しねぇ?」
「ふん、どうやったらそれで見分けがつくのか、説明して欲しいものだな」
 クロイは、どうやら付き合う気が全くないらしい。リアもそうかと思えば、彼女は肩をすくめるヤマトを見、おたおたとしているアルトを見、にこりと笑う。
「勝った方が本物ですか?」
「さぁね。でも、そういうことじゃねぇの?」
 くだらない、と吐き捨ててクロイは踵を返す。
「それも、面白そうですね」
「いや、ちょっと待て、お前、……生き別れの双子ってのは、本当か?」
「おや、何故ですか?」
「生き別れの双子だったらお前ら二人、闘わせる訳にはいかねぇだろ!?」
 アルトはがしっと一人のリアに掴みかかる。その顔は真剣そのもので、リアは小首を傾げた。
「では、どうします?」
 彼女の静かな問いかけに、アルトは答えられない。
「そんなの、簡単なことだろ?」
 黒衣の魔導士が、振り向き様に二本のナイフを投げた。
 それらはそれぞれヤマトとアルトの脇を掠め、そして二人のリアの耳元を掠めて行く。
 ヤマトの側に立っていたリアは僅かに顔をしかめ、アルトの側に立っていたリアは驚いたように耳元に触れて振り返る。
 そんな彼女の耳元からは何か小さなものが飛ばされたように、アルトには見えた。
「おー、ホントだ、簡単じゃんか」
 ぱちぱちと拍手したヤマトは、自分の近くにいた「リア」——顔をしかめた方である——の腕をがしっと掴んだ。
「お前が偽物、な」
「え? ちょっと待て、は? え、どうして分かったんだよ、お前ら!?」
 慌てふためくアルトの前、リアは地面から小さくて白い物を拾い上げる。手のひらにぎゅっと握りしめ、彼女は少し離れた場所に落ちたナイフを見やる。
「本当に良く分かりましたね。確かにここまではコピーできなかったんでしょう。最近、着けたものですし」
 ヤマトに腕を掴まれた「リア」は、リアの言葉と同時にぽんと音を立ててその姿を消す。否、そこに「彼女」はいた。ただし、ヒトの姿ではない。
「狐?」
 アルトが呆然と呟けば、その狐はリアに駆け寄り彼女の周囲をくるりと回る。
 金色の艶やかな毛並みが、日光も出ていないというのに輝いているようにも見えた。
「では私はこれで」
 狐の頭をそっとひと撫でし、リアは立ち上がって歩き出す。しかしそれは、クロイがギルドへと帰りいく方向とは逆だった。
「どこに行くんだよ」
「誰かさんが壊してくださったこれ、街中の宝石店で直していただこうかと」
 アルトの問いに、何故か律儀にもくるりと振り返ってリアは答える。
 開いて見せてくれた彼女の手の内にあるのは、白く小さな花。それを象るのは、貝であろうか。見覚えのあるそれに、アルトは「あ」と思わず声を漏らした。
 まだ風も冷たかった春先のこと、そんなものを渡さなかっただろうか。だがまさか、道具にも他人にも頼らないと豪語する彼女が、お守りなど身につけていたのだろうか。
 隣で見ていたヤマトが、ひゅうと口笛を吹くのが聞こえ、アルトは赤面する。「違う」と、そう彼に叫ぶ前に、言うことがあるだろう。しかし、真っ白になった頭は、頬の熱さばかりを伝えてくる。
 くすりと笑って、リアは踵を返す。狐も、彼女に続いた。
「は、早く帰ってこいよ、今日は寒いんだからな!」
「言われなくたって、心配性が心配性をこじらせる前には帰りますよ」
 そこからギルドに帰るまでの間、どうやってヤマトの追求を躱したのか、アルトはさっぱり覚えていない。


 さてその狐は親からはぐれた子狐で、現在は姿変えの術を練習中なのだとか。今はギルドでメンバーたちに構ってもらいながらぬくぬくと過ごしている。
「おい、リア」
 自室の扉をノックされ、呼ばれたリアがその戸を開けば、そこにいたのは。
「……どちらさまでしょう、と問いかける必要もなさそうですね」
 青い髪、白いローブ。意地悪げににやりと笑うその顔が、二つ。
「今度はお前が見分けてくれよ? どっちが『本物』なのか」
 笑顔を崩すことなく、リアは鋭い視線を彼らに向けた。



<言い訳>
いつも通りのいつものペアですみませんorz
更に言うのならば。誰にも見せ場がないという悲惨な出来です。あ、辛うじてクロイ君の見せ場があるか…?(汗)
実はこれ、とある場面だけは2011年の4月頃からありまして、ようやく形にしたという…遅筆すぎてなんと謝罪して良いものか、本当にすみませんorz
あの、なんというか、その、最後の方の場面をちらりと書きたかっただけという…誰得すみませんorz いくら平謝りしても足りないですね!←
結論というか一言でまとめれば、「姿形が全く同じでも、『自分』を見分けてくれる人がいたらいいよね!」ということで?(訊くな)
あと狐はなんとなくです。変化に失敗すると、リアの姿に耳や尻尾が生えていたりするに違いありません。むしろそれならば一発で見分けられて便利ですよね!
最早ノリが分かりません(真顔)

ものギルの全員と、名前だけヨランドちゃんをお借りしました、ありがとうございます。
それでは、何か問題ありましたらご連絡ください。



夢裏徨「月影草
ものかきギルド企画