憂鬱な朝



 連休明けの水曜日。暫く祝日がないことを残念に思いながらも学校に行けば、私より先に来ていた千秋が、神妙な顔をして悩んでいた。
「おはよー。千秋、何かあったの?」
「うん、ちょっとね」
 真面目な表情のまま千秋は頷いた。何か重大なことがあったらしい。
「え、何? 私が聞いちゃってもいい話?」
「うん」
 彼女は一つ大きく頷くと、ぴっと指を一本立てて徐に口を開いた。
「夏休み、どうしよう」
「…………はい?」
「だーかーら、夏休みの旅行計画! 折角の長い休みなんだから、遠出しないともったいないわよね。じゃあ近場は却下で。遠出って言ったらやっぱり沖縄? 北海道? 最近じゃあ海外にもそれなりお値段で行けちゃうわよね。ハワイとか行っちゃおうかしら。それとも釜山? 選択肢が多すぎて困るわぁ」
 嬉々として困ると言われても、困るのは私の方なんだけどなぁ。というか何に困っているのか、私の頭じゃさっぱり分からない。
「雅沙羅は来るわよね。勝も来るのかしら?」
「うーん、どうなんだろ。光君も一緒かも?」
「あの子なら大歓迎。勝でささくれ立った心の癒しになってくれるわ。じゃあ、部屋は二部屋ね」
 二部屋。千秋と雅沙羅が一部屋で、谷口君と光君が一部屋の、トータル二部屋かな?
 …………うーん、なんか、人数が合わない気がする。
「って、私か!」
「え、桜は当然来るんでしょ? というか桜に選択肢ある訳ないじゃない」
「え、そうなの!?」
 抜かされていたのではなく、カウント済み。しかも本人がいるのに、確認する気は0。
 ……ま、いっか。千秋だし。



Eternal Life
月影草